※このブログは2024年10月4日に公開された英語ブログ「Open Source is in Our DNA:Reaffirming TiDB’s Commitment 」の拙訳です。
TiDBの構築に着手した当初、私たちは単なるデータベースを作りたかったわけではありませんでした。世界中の開発者が信頼し、貢献できる、コミュニティ主導のオープンソースプロジェクトを構築することを目指しました。当初から、TiDBはApache 2.0ライセンスのオープンソースプロジェクトであり、現在もその姿勢を貫いています。オープンソースは私たちにとって単なるラベルではなく私たちの本質と運営の基盤です。
TiDBリポジトリに最初のプルリクエストを提出したときの感動は忘れられません。それは単なるコードの変更ではなく、私たちが共に何かを作り上げることにコミットしている、という世界へのメッセージでした。世界中の開発者からの何千もの貢献がなければ、今日のTiDBはなかったでしょう。初期の頃は、TiKVがまだCNCFのメンバー・プロジェクトではなかったにもかかわらず、CNCFがテスト用にサーバーを快く提供してくれたことは大変な幸運でした。
個人的な話をすると、私のプログラミングへの旅は1995年に始まりました。近所にはコンピュータの先生もいませんでしたが、私の唯一の学びの場は、オープンソースコミュニティでした。そこでは、若い私を平等に扱ってくれ、プログラミングの世界へと歓迎してくれました。私の基本的なコンピュータ知識はすべてオープンソースソフトウェアコミュニティから得たものであり、だからこそ、このコミュニティは私にとって非常に大きな意味を持つのです。私たちはTiDBを中心に発展してきたコミュニティを誇りに思い、その包括性と協力の精神が私たちを前進させています。
オープンソースライセンシングの憂慮すべき変化
現代のオープンソースソフトウェアのビジネスモデルは、単に無料のソフトウェアを提供することから、コミュニティ主導の開発と企業の収益化を組み合わせた二重のアプローチへと進化しています。オープンソース・ソフトウェア企業は、多くの場合、無料版のソフトウェアを提供し、コミュニティでの採用を促進する一方で、プレミアムなプロプライエタリ機能、サポート、またはマネージド・クラウド・サービスを提供し、収益を生み出しています。このオープン性と商業化のバランスにより、企業はより広範なエコシステムに貢献しながら成長を維持しています。
しかし最近、オープンソースの世界では憂慮すべきトレンドが見られます。CockroachDBやRedis、HashiCorpなどのベンダーは、かつてオープンソースの支持者でしたが、収益源を保護するためにライセンス構造を変更しました。これはいくつかの理由から理想的とはいえません:
- 信頼の侵食:企業がライセンスを変更すると、約束を破られたように感じることがあります。これらのプラットフォームを学び、貢献するために時間とエネルギーを投資した開発者は、突然アクセスを制限されたり、高価なエンタープライズプランに強制的に加入させられたりといった状況に追い込まれたりします。
- イノベーションの抑制:オープンソースのエコシステムは、多様な貢献者からのイノベーションによって成り立っています。ライセンスが制限的になると、誰がソフトウェアを使用し、改善し、構築できるかが制限されます。これにより、オープンソースが促進するはずのイノベーションそのものを妨げることになってしまいます。
- フラグメンテーション:ライセンスの変更は、しばしばフォークやフラグメンテーションを引き起こします。れにより、開発者コミュニティ内に混乱が生じ、リソースが分散され、イノベーションやコミュニティ構築が後回しにされてしまいます。。例えば、ValkeyやOpenTofuのようなプロジェクトは、元の主要なオープンソースプロジェクトにおけるライセンス変更の後、フォークとして出現しました。これらのフォークは代替としての役割を果たす一方で、コミュニティとリソースを分断し、集団的な進歩とイノベーションを遅らせる要因となります。
TiDBのオープンソースへの取り組み
TiDBは、オープンソースに対する信念を変えることなく守り続けています。これは、PingCAPのCEOであるMaxとCTOの私 (Ed) のビジョンに基づいており、革新を促進するオープンプラットフォームを創造することを目指しています。また、私たちの成功したクラウド導入や、オープンソースモデルの柔軟性とスケーラビリティを信頼する大規模な顧客基盤の成長も、この姿勢の背景にあります。私たちのコミュニティは成功の重要な要素であり、今後も開発者がTiDB上で自由に構築できる環境を提供し、ライセンスの変更や制限について心配することなく進められるようにしたいと考えています。
オープンソースの開発者の皆さんへ:TiDBはあなたのために存在しています。サイドプロジェクトを立ち上げようとしている方、大きなオープンソースイニシアチブに貢献しようとしている方、スタートアップを立ち上げようとしている方、TiDBは皆さんのニーズをサポートします。TiDBはオープンソースであり、自由に修正、配布、構築することができます。さらに私たちはコミットメントについて語るだけではなく、言葉を行動に移していきます。
TiDBは、長年にわたりオープンソースコミュニティのチャンピオンを務め、TiDB Champion programのような取り組みを通じて、コラボレーションとイノベーションを奨励してきました。このプログラムは、TiDBとオープンソースプロジェクトの成長に貢献している個人を表彰し、支援してきました。今日、私たちは、OSSInsightを通じた新しいイニシアチブを通じて、あらゆるオープンソース開発者に感謝の意を示す具体的なステップを踏むことで、そのコミットメントをさらに拡大します。
もしあなたがGitHubでオープンソースに貢献しているなら、皆さんの次の大きなアイデアを支援したいと思っています。私たちは、あなたのオープンソース貢献に基づいて最大2000ドル分のTiDB Cloud Serverless creditsを無料で提供します。これらのクレジットは、個人のウェブサイトや小規模データベースのホスティングから、スタートアップの拡大、大規模でデータ集約型のエンタープライズアプリケーションの構築まで、幅広いプロジェクトにご利用いただけます。新しいアイデアを試している方も、ミッションクリティカルなシステムを運用している方も、TiDB Cloud Serverlessは皆さんの次のプロジェクトを強力にサポートします。
この取り組みは単に無料クレジットを提供することだけではなく、TiDBの構築と成長を支えてくれたコミュニティへのサポートを続けることが目的です。私たちは皆さんが、TiDBを利用してプロジェクトにどのような息吹を吹き込むかを楽しみにしていますし、その一翼を担えることを誇りに思っています。
まずは、OSSInsightのGitHubアカウントでログインし、ご自身の貢献の履歴を確認し、クレジットを申請してください。今からプロジェクトの構築を始めましょう!
オープンソース支援の輪
オープンソースのエコシステムは、協力、信頼、透明性の上に成り立っています。これらの価値は、TiDBが創業当初から大切にしてきたものです。焦点を変える企業もある中、私たちはオープンな革新と自由へのコミットメントを貫きます。TiDBは単なるデータベースではなく、経験豊富なメンテナーでも、これから始める方でも、特別なプロジェクトを共に築くパートナーです。
私たちは、開発者が適切なツールを持つことで、驚くべき成果を達成できると信じています。このプログラムが、あなたの次のプロジェクトをTiDBで実現するきっかけになれば幸いです。共に築き続けていきましょう。
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TiDB Cloud Dedicated
TiDB Cloudのエンタープライズ版。
専用VPC上に構築された専有DBaaSでAWSとGoogle Cloudで利用可能。
TiDB Cloud Serverless
TiDB Cloudのライト版。
TiDBの機能をフルマネージド環境で使用でき無料かつお客様の裁量で利用開始。