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※このブログは2025年5月22日に公開された英語ブログ 「Building Intelligent AI Agents: A New Data Application Paradigm with MCP and TiDB」 の拙訳です。

私たちは「エージェントAI時代」に突入しました。これは、大規模言語モデル (LLM) が指示を理解するだけでなく、自律的に意思決定を行い、タスクを実行する新たな段階です。この状況において、LLMを外部システム、特にデータベースと効率的に統合する能力は、真に強力なAIアプリケーションを構築するために不可欠となっています。

Model Context Protocol (MCP) は、LLMと外部データソースやツールシステムをつなぐ標準的なブリッジとして登場しました。これにより外部リソースへのアクセスが簡素化され、開発者はリアルタイムデータと実行可能な機能を統一された方法でLLMアプリケーションに組み込めるようになります。

本日、私たちはPyTiDB (TiDB用のAI SDKで、ベクトルストレージとAIを活用した検索機能を備えています) が、MCPに対するネイティブサポートの提供を開始したことをお知らせします。この統合により、複雑なプラグインやカスタムAPIを構築する必要がなくなります。MCPサーバーの簡単な設定を行うだけで、TiDBのリソースがClaude DesktopやCursorなどの人気のエージェントプラットフォーム内で直接利用可能になり、AIエージェントが過去の履歴を深く記憶し、分析的に推論し、行動する能力を強化します。

このブログでは、MCPの中核となるメカニズムと、TiDBがMCPエコシステム内で果たす役割について深く掘り下げていきます。また、TiDBとMCPを活用して構築するインテリジェントなデータ分析アプリの実践的な例を、完全なソースコードと共に解説します。

Model Context Protocol (MCP) とは何ですか?

MCP (Model Context Protocol) は、LLMが外部データやツールにアクセスする方法を定義するオープンな標準規格です。

MCPの仕組み:3つの主要な構成要素

  • MCPホスト:外部データへのアクセスを求めるLLMプラットフォーム (例:Claude Desktop、Cursor) 。
  • MCPクライアント:ホストは複数のMCPクライアントを含むことができ、それぞれがMCPサーバーと1対1の接続を維持します。
  • MCPサーバー:実際のリクエストを処理し、外部システム (例:データベース、API) と通信し、その結果をモデルに返します。
Architecture of MCP And TiDB
MCPのアーキテクチャとTiDBの役割

なぜMCPが重要なのか:主なメリット

  • データのサイロ化を解消:MCPはAIアプリケーションとデータベースのような外部システムとの隔たりを埋め、LLMが古くなったトレーニングセットではなく、最新のリアルタイムデータを扱えるようにします。
  • チャットボットを真のエージェントへ進化:MCPはサードパーティツールとの統合を促進し、静的なチャットボットを、認識、意思決定、行動能力を持つ自律型エージェントへと進化させます。
  • カスタムエージェントプラグインが不要に:統一されたプロトコルのおかげで、各外部ツールは1つのMCPサーバーを実装するだけで済みます。これにより、AIプラットフォームごとに統合作業を繰り返す手間がなくなります。

デモ:TiDBとMCPによるGitHubデータ分析

以前、私たちはOSSInsightプロジェクトのために、90億件以上の公開GitHubイベントレコードをTiDBに保存し、事前に作成されたSQLベースの分析機能とオンラインダッシュボードを提供していました。しかし現在、データアプリケーションの開発パターンは変化しています。

TiDB MCPサーバーを使用することで、開発者は現在、次のようなことが可能になりました。

1. エージェントによるワークフローを簡単に実装:従来のText-to-SQLアプリケーションは、固定されたワークフローでエラーを生成しがちでした。対照的に、データベースに接続されたAIエージェントは、フィードバックに基づいてSQLクエリを自動的に再試行または修正できるため、手動での介入を劇的に削減します。

2. AIの継続的な学習を可能にする:新世代のAIツールには、ユーザーの好みを記録するためのメモリモジュールが組み込まれています。これにより、LLMは時間とともに、ユーザーの意図に合わせた正確なSQLクエリをより良く生成できるようになります。

これを実際に確認するため、私たちはClaude DesktopでTiDB MCPサーバーを設定し、OSSInsightの読み取り専用TiDBクラスタに接続しました。そして、AIエージェントに次のリクエストを指示しました。

Analyze 9 billion GitHub events stored in the TiDB database. Retrieve star history of the pingcap/tidb repository (cumulative by year and only count the first time when the user stared) . Present the result using an ECharts line chart, and keep the explanation concise.

AIエージェントの応答方法をご覧ください。

動画で示されているように、AIエージェントは自律的に以下のタスクを実行しました。

  1. show_tablesのようなツールを使ってデータベースの構造を探り、スキーマを理解しました。
  2. db_queryを使って適切なSQLクエリを作成し、実行しました。
  3. 生のデータを視覚的なEChartsの折れ線グラフに変換しました。
  4. 分析結果を簡潔に説明しました。

この一連のワークフローは、ユーザーによる手動コーディングやデータベースの専門知識を一切必要とせずに行われました。これは、AIエージェントがいかにして複雑なデータ分析を自然言語を通じて利用可能にするかを示しています。

TiDB MCPサーバーを実際に試してみよう

TiDB MCPサーバーを段階的に実行する方法を見ていきましょう。これにより、MCPクライアントを通じて直接データベースと対話し、洞察を得ることができます。

前提条件

  • MCP互換クライアント (例:Claude Desktop、Cursor、Cline、DeepChat、ChatWise) 。
  • テスト用のTiDBデータベースクラスタ (👉 TiDB Cloudで無料のTiDB Serverlessクラスタを作成) 。
  • サンプルデータ (TiDB CloudはGitHubリポジトリの軽量サンプルデータセットを提供しています。以下のスクリーンショットの手順に従ってインポートできます ) 。
sample dataset of GitHub repositories
GitHub リポジトリのサンプルデータセット

設定手順

詳細なドキュメントについては、以下のリンクをご参照ください。

https://pingcap.github.io/pytidb/integrations/mcp .

  1. MCP リポジトリをクローンします。
git clone https://github.com/pingcap/pytidb
cd pytidb
  1. 依存関係をインストールします。

最適な体験を得るために、uvパッケージマネージャーの使用を推奨します。

uv sync --extra mcp
  1. Claude Desktop で、Settings -> Developer -> Edit Configを選択し、設定ファイルを開きます。
Claude Desktop Setting
Claude Desktop設定
  1. TiDB MCPサーバーの構成を追加します。

TiDB Cloudのクラスタ詳細ページで、データベース接続パラメーターを確認できます。

{
  "mcpServers": {
    "tidb": {
      "command": "uv",
      "args": [
        "--directory",
        "/path/to/pytidb",
        "run",
        "-m",
        "pytidb.ext.mcp"
      ],
      "env": {
        "TIDB_HOST": "{host}",
        "TIDB_PORT": "4000",
        "TIDB_USERNAME": "{username}",
        "TIDB_PASSWORD": "{password}",
        "TIDB_DATABASE": "{database}"
      }
    }
  }
}
  1. Claude Desktopを再起動してください。エージェントのツールパネルにTiDB MCPサーバーツールが一覧表示されます。
Agent's tool panel
エージェントのツールパネル

今後の展望

Model Context Protocol (MCP) は、AIモデルと外部システム間の標準インターフェースとして急速に確立されつつあります。この普遍的な通信レイヤーを構築することで、MCPはAIモデル提供者がコア機能の強化に注力できる一方で、ツール開発者は一度構築すれば複数のAIプラットフォームに展開できるようになります。

TiDB MCPサーバーのリリースは、当社のAIエコシステム戦略における重要な一歩です。皆様がこれらの機能で何を創造されるのか、楽しみにしています!

ご質問がある場合や、現在開発中のものを共有したい場合は、ぜひDiscordのコミュニティにご参加ください。当社のチームや他の開発者も支援する準備ができています。皆様からのフィードバックが、TiDBをより良くするための直接的な力となります。

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